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【フランチャイズ本部の構築方法】立ち上げに必要な10の手順や4つの成功のカギを徹底解説
事業の拡大に効果的な方法の1つがフランチャイズ展開です。コンビニ・ファーストフード・カフェなど、全国各地にさまざまな業界の店舗が存在しています。
フランチャイズは私たちの生活に身近ではあるものの、実際にどのように立ち上げるのか分からない人も多いでしょう。
この記事では、フランチャイズ本部の構築方法を詳しく解説します。フランチャイズ本部の立ち上げに必要な手順や成功のカギを説明するので、ぜひ最後までご覧ください。
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<目次>
フランチャイズ本部の構築・立ち上げ方法10ステップ
まずは、フランチャイズ本部が加盟店を募集する段階に至るまで、具体的にどのような準備が必要なのか説明します。加盟店を増やすための基礎となる業務なので慎重に進めましょう。
- フランチャイズ事業の専任者を選定する
- 企業理念体系を明確にする
- 事業計画を立てる
- 商標登録の申請を行う
- 実店舗での検証
- フランチャイズシステムを構築する
- フランチャイズ本部に必要な機能を整備する
- 基本契約書の内容を決定する
- 加盟店開発の方法を策定する
- フランチャイズ加盟店を募集する
中には完了するまで時間がかかる項目もあるので、取り掛かる順番にも注意を払いましょう。
①フランチャイズ事業の専任者を選定する
初めてフランチャイズ本部を構築する時は、その事業の専任者を選定するとスムーズに進めやすくなります。フランチャイズ化の経験があり、熱量を持って事業に取り組める人が望ましいです。他社と差別化できるような商品・サービスを考えられる柔軟な発想も求められます。
始めのうちは兼任でも問題ありませんが、加盟店開発の段階になると専任でなければ成果が上がりにくいです。また、他の業務に時間を取られることで、加盟希望者との商談の時間も制限されてしまいます。
加盟店が増えると研修やスーパーバイジングなどの業務も増えるので、数名の専任者を決めておきましょう。
専任者は、フランチャイズ加盟検討者がどのような視点でフランチャイズ本部を選定しているかも参考にしてください。
②企業理念体系を明確にする
事業をフランチャイズ化する前に、まずは自社の企業理念体系を明確にしましょう。企業理念はMission ・Vision・Valueで表されます。
Mission (ミッッション) | その事業で成し遂げたいこと |
Vision(ビジョン) | 中長期的に見てその事業をすることで会社がどうなりたいか |
Value(バリュー) | 価値観・行動指針 |
フランチャイズ化することによって、本部から加盟店へ経営理念を伝えていくことになります。軸となるMission・Vision・Valueを明確にすることで、事業の軸がぶれず企業の目的も分かりやすくなるので、加盟店も目標を持って営業がしやすくなるでしょう。
ビジネスパートナーとして長く一緒に歩んでいくためには、事業に対する熱い思いを加盟店に理解してもらうことが大切です。
③ 事業計画を立てる
企業理念をはっきりとさせた上で、本部・加盟店のそれぞれの事業計画を立てます。どのように事業を運営していくか具体的な行動を決めていきましょう。それぞれ下記の項目は必須です。
【本部】
- 加盟店数の目標
- 資金計画
- 担当スタッフ
【加盟店】
- 初期費用
- 収益予想
- 初期投資額を回収するまでのかかる期間
具体的な数字を出して売上・加盟店の増加数の目標を決め、そのために必要な行動を考えます。現実離れした計画書では意味がないので、実現可能な事業計画書であるか精査しましょう。
④商標登録の申請を行う
自社のブランド・ロゴなどを他社に使わせないためには商標登録が必要です。仮に他社に先に登録されてしまうと、自社が作成したブランド・ロゴでも変更せざるを得ません。商標登録の申請は早い段階で行いましょう。
商標登録が完了するまで約5ヶ月〜10ヶ月は必要と言われています。フランチャイズでは、加盟店が本部と同じブランド・看板を使って営業することになるため、加盟店募集の際には商標登録が終わっている状態が理想的です。
⑤実店舗での検証
事業計画の策定後は、実店舗での検証が必要です。本部自らが実際に新しく出店して、計画をもとに試験的に営業を行います。概ね計画通りに進むのか検証することで、「出店しても安心である」という証拠を加盟希望者へ伝えられるでしょう。
既存店で検証をすることも可能ですが、加盟者が新規出店する場合と異なった条件になってしまうので、正確な検証結果は出ません。より信憑性のある結果を出すために、中には複数の店舗を出店し検証を重ねるフランチャイズ本部もあります。
⑥フランチャイズシステムを構築する
次に、フランチャイズシステムの構築をします。成功に導くビジネスモデルの確立が加盟店から選ばれる秘訣です。そのためには、下記の3点を重点的に取り組みましょう。
- マニュアルの作成
- 研修プログラムの決定
- スーパーバイザーの業務内容の決定
加盟者の中にはビジネス初心者もいるので、知識や経験がない人でもその通りに実行すれば成功できるマニュアルが必要となります。マニュアルは時代に合った内容にする必要があるため、常に見直してブラッシュアップすることが重要です。
研修プログラムに関しては、基本的な内容を決定しておき、最終的には対象者のレベルに合わせたものに調整することをおすすめします。加盟者が自身で運営ができるようになる研修内容を考えましょう。ぜひ既存店での実務経験を取り入れるようにしてください。
また、定期的に運営状態を確認するスーパーバイザーの具体的なサポート内容も決めていきます。マニュアル通りに運営できているか確認し、軌道修正の要否を定期的に判断することが加盟店の成功に役立ちます。
再現性の高いフランチャイズシステムを構築して、加盟者が安心して営業できる体制を整えましょう。
⑦フランチャイズ本部に必要な機能を整備する
次に、フランチャイズ本部に必要な機能を整備します。具体的には下記の準備が必要です。
- 開業支援機能
- 教育・研修機能
- スーパーバイジング機能
- マーケティング機能
- 加盟店開発機能
- 金融支援機能
- 情報システム機能
それぞれの機能を充実させることで、信頼できる魅力的なフランチャイズ本部となります。
どの機能も常に改善が必要ですが、加盟店が増えてきてから内容を大きく変更するのはリスクが伴います。初期段階からある程度のレベルまでは基礎を作り上げておきましょう。
⑧基本契約書の内容を決定する
フランチャイズ本部としての機能が整備されビジネスモデルが確立したら、次は基本契約書の作成です。契約書には、提供する商品・サービスに関する事項以外に、加盟金・ロイヤリティ・契約期間・解約金などについても記載します。
契約書が完成したら、必ず弁護士へ依頼してリーガルチェックをしてもらいましょう。将来的に加盟店とトラブルが生じた場合、契約書の文言で助けられる場合があります。必要な項目が欠けることなく記載されているか専門家に確認してもらってください。
契約書の内容は、加盟希望者がフランチャイズ本部を選ぶ際に比べるケースが多いです。厳しすぎる内容では加盟希望者に不満が生じる可能性があるので気をつけましょう。
⑨加盟店開発の方法を策定する
次に、加盟店開発の方法を具体的に決めます。フランチャイズ本部の収益は、加盟店からの加盟金・ロイヤリティが大部分を占めるため、加盟店が増えていかなければ収益も伸びていきません。
下記は加盟店を募集する方法として代表的な手段です。
- フランチャイズ加盟者募集サイトへ掲載
- 展示会への参加
- パブリシティの活用
- 自社のHPの整備
- 直営店舗でのPR活動
できるだけ多くの人に知ってもらえるように、自社にふさわしい方法を選択する必要があります。中には費用が高額な方法もあるので、あらかじめ見積もりをして加盟店開発に努めましょう。
⑩フランチャイズ加盟店を募集する
最後に、実際にフランチャイズ加盟店を募集する段階です。自社のフランチャイズシステムに興味を持ってもらえるように、準備した加盟店開発ツールを駆使して営業を行いましょう。
加盟希望者から問い合わせがあったら、事業説明会・個人面談とステップを踏んで契約まで進みます。問い合わせ後は資料を渡して終わるのではなく、積極的にフォローアップして次の段階に進めるようにしましょう。
フランチャイズ展開を成功させるためのポイント
フランチャイズ展開をするためには、段階を踏んで計画的に物事を進めていかなければなりません。そんな中で、フランチャイズ展開を成功させるために重視すべきポイントがあります。
- 再現性の高い成功モデルを確立する
- ノウハウを標準化させるためにマニュアルを作る
- 加盟店へのサポートを充実させる
- フランチャイズ本部と加盟店の知識量の差をなくす
上記の4点が十分に整備されているか自社のビジネスモデルを確認してください。
再現性の高い成功モデルを確立する
フランチャイズ展開を成功させるためには、再現性の高い成功モデルを確立することが大切です。加盟者の中には、ビジネス初心者・知識や経験が乏しい方も少なくないので、誰がやっても同等の成果が出るビジネスモデルが必要になります。
自社の店舗の成功が偶然ではないことを示すためには、本部自らが実際に新しく出店して、既存店の成功モデルを検証するのがおすすめです。異なる地域で他のスタッフが営業しても成果が出るか試すことで、再現性の高さを確かめることができるでしょう。
加盟店が一定の収益を出せない場合、トラブルが生じたりブランドの価値が下がってしまったりする可能性もあるので、再現性にこだわってビジネスモデルを構築してください。
ノウハウを標準化させるためにマニュアルを作る
本部が構築したノウハウを標準化させるためには、マニュアルの用意が必須です。加盟店のスタッフが個々で違った動きをすると、店舗によるばらつきが出る可能性があります。再現性の高い成功モデルも、その通りに実施しなければ効果を発揮しません。
フランチャイズ本部も加盟店も成功するために、ビジネス初心者が読んでも理解・行動できるレベルのマニュアルを作成しましょう。本部直営の店舗と同等のレベルを保持できなければ、フランチャイズ展開の成功はありません。
加盟店へのサポートを充実させる
加盟店が安心して営業を続けるためには、フランチャイズ本部からの充実したサポートが必要です。いつでも頼れる存在であることが加盟店の成功に繋がります。
下記は加盟店へのサポート例です。
- 定期的な店舗訪問によるスーパーバイジング
- PR活動の援助
- システムの共有
- 融資の際のサポート
加盟店の成功は本部の成功と直結しています。充実したサポートで加盟店を成功に導きましょう。
フランチャイズ本部と加盟店の知識量の差をなくす
フランチャイズシステムは、本部が持っているビジネスノウハウを加盟店に教える形なので、両者の知識量がスタート時点で違うのは当然です。
しかし、営業が始まってからも知識量に大きな差があるままでは問題があります。加盟店側は、マニュアルや研修を通して学び、経験を重ねて成長していかなければなりません。
フランチャイズ本部は、そもそも加盟店との間にはフランチャイズシステムや事業に関する情報量について差があることを認識しましょう。そして、その差を埋めるための努力が必要です。定期的に研修を行ったり既存店で実習をしたりして、両者の知識量に差がない状態まで持っていきましょう。
まとめ
フランチャイズ本部の構築ではやるべきことが多く、加盟店の募集をスタートさせるまでに入念な準備が必要です。効率的に進めるためにも、それぞれの目標時期から逆算して計画を立てましょう。
また、「再現性の高いビジネスモデルの確立」と「分かりやすいマニュアルの作成」が、フランチャイズ本部の立ち上げでは特に重要です。誰でも一定の成果をあげられるような経営ノウハウをマニュアルに落とし込む必要があります。そして、充実したサポート体制を整えて営業開始後も継続的に加盟店を支えていきましょう。
本記事で説明した立ち上げに必要な手順を参考にして、フランチャイズ本部の構築に挑戦してください。
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BBSインターナショナル株式会社
代表取締役
川口 毅
2002年、慶應義塾大学経済学部卒、大手広告代理店に入社。
その後メンタルコーチへのキャリアチェンジを経て、
2013年にNBCインターナショナル(株)に入社、フランチャイズの加盟店開発を専業とする。
2016年、同社取締役就任。2018年に事業部を分社化してBBSインターナショナル(株)を設立し、代表取締役就任。
フランチャイズの展開コンサルティングを主軸とし、フランチャイズ本部構築や、新規ビジネスの資金調達支援も行っている。