【フィットネス業界の現状は?】市場の動向やフィットネスの今後の展開についてもご紹介
コロナ感染拡大により多大な影響を受けたフィットネス業界ですが、健康意識の高まりによりフィットネス市場が大きく変化しています。これまで主流だった総合型ジムに代わり、24時間ジム・パーソナルトレーニングジムなど新しい業態のジムが急増。さらにフィットネス業界のオンライン化も進み、ジムに通わないオンラインフィットネスも注目されています。
この記事ではフィットネス市場の動向や今後の展開について詳しく解説しています。日本と先進諸国のフィットネス市場・今後の躍進が期待できるフィットネスクラブなども解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を読んだ人にオススメ
高齢女性向フィットネスと24時間ジムの成功戦略レポート
<目次>
フィットネス業界の市場規模
フィットネスクラブには、さまざまな業態があります。そのためフィットネスジムの開業を目指す方は、フィットネスクラブの市場規模を把握するのが大切です。この章では以下の内容について詳しく解説していきます。
- フィットネスクラブ別の売上高
- 先進諸国と比較した日本のフィットネス市場
今後のフィットネス業界の動向を知るためにも、ぜひチェックしてみてください。
フィットネスクラブ別の売上高
フィットネスクラブ別の売上高を見ていきましょう。クラブビジネスジャパンの「日本のフィットネスクラブ売上高 上位15社の業績推移」によると、総合型ジムを展開する大手フィットネスクラブ・コナミスポーツは、2013年度から売上高が大きく減少。また2012年創業のライザップが躍進し、2015年にTOP10入りを果たしました。
クラブビジネスジャパンが公表した「日本のクラブ業界のトレンド2013年版」によると、2011年から2013年にかけての市場規模はほぼ横ばい、会員数が増えているにも関わらず平均客単価の伸び率は落ち着いています。
このことから小規模・低価格なフィットネスクラブが増えてきていることが予測されます。
先進諸国と比較した日本のフィットネス市場
フィットネスビジネスが公表しているデータによると、日本のフィットネス市場は拡大し続けており、2019年度の市場規模は約4,940億円と業界史上最高値を更新。しかしコロナ禍の影響により2020年度の売上高は3,200億円と大きく減少しました。
またクラブ数は2016年から増加傾向が続いており、2021年は6,757軒まで拡大。フィットネス会員数はコロナ感染拡大により、2020年度は激減しますが2016年と同等の433万人と盛り返しています。
フィットネスが盛んなアメリカのフィットネス市場は2019年度で350億ドル、イギリスでは77.1億ドルとなっており2016年から拡大し続けています。
このことからフィットネスの市場は世界規模で拡大し続けているといえます。またフィットネス参加率はアメリカが19.6%・イギリスが15.6%なのに対し、日本は3%台と世界的にも低い割合です。そのため、新規会員を増やすのはもちろん、継続的にフィットネスクラブを利用する人を増やしていくことがフィットネス業界の課題といえるでしょう。
フィットネス業界の変革:最新の動向と市場展開
フィットネス業界は最新技術の導入、異業種からの市場参入、ターゲット層の多様化など、著しい進化を遂げています。ここでは、特に注目すべき8つのトレンドをわかりやすく解説します。
①会員の高齢化対策
日本の少子高齢化はフィットネス業界にも影響を及ぼしており、高齢者向けの設備やプログラムがより重要になっています。
②小型店舗の普及
AIの進化とデジタル化推進により、運営コストが低い無人の小型店舗が増加しています。特に、24時間営業のパーソナルジムやジムはフランチャイズ方式で急速に店舗数を拡大しています。
③地方への出店拡大
低コストで運営可能なジムが地方にも進出しています。これにより、人口が少ない地域でもビジネスが成立しやすくなり、競争が少ない地方市場への出店が増えています。
④女性専用店舗の増加
女性専用フィットネス施設が増えており、これにはプライバシーの確保や専用設備の需要が背景にあります。このような施設は、価格設定も手頃で、主婦や扶養内で働く女性にも受け入れられやすい傾向にあります。
⑤初心者向けのプログラム
初心者が気軽に始められる低価格ジムの普及に伴い、初心者向けのサービスが強化されています。これには、機器の使い方を明確に説明するなど、利用者に寄り添ったサポートが含まれます。
⑥異業種からの参入
異業種からの参入者も見られ、飲食業からフィットネス業界へのシフトが一例です。これらの企業は、フランチャイズ契約やM&Aを活用して新規市場に進出しています。
⑦新技術の採用
AIを利用した監視システム、電子決済、アプリによる手続きの簡素化など、新しい技術がフィットネス業界に導入されています。また、オンラインフィットネスの普及も加速しており、これらの技術はコスト削減と顧客層の拡大に寄与しています。
⑧フィットネスジム休業への対処
ウイルス感染による、フィットネスジムの休業問題に対処するため、フィットネス業界は感染拡大防止のためのガイドラインを策定しました。これには、密集回避、マスク着用、適切な距離の保持、人数制限、飛沫遮蔽、会話制限、手指消毒、接触頻度の高い場所の定期的な消毒、施設入口での体温チェックと健康確認が含まれます。
加えて、ジムでのクラスター発生を防ぎ、全ての顧客が安心して利用できる環境作りが求められています。自宅で受講可能であり、新型コロナウイルスの外出制限やジムの営業停止により急速に拡大しています。
これらの動向は、フィットネス業界がより通いやすく、多様な顧客ニーズに応えるための革新を続けていることを示しています。
フィットネスの種類
フィットネスの業種は大きく分けると5つあります。内容は以下の通りです。
- 総合フィットネス
- コンセプト特化型スタジオフィットネス
- 24時間ジム
- パーソナルジム
- オンラインフィットネス
フィットネスクラブの開業を目指している方はフィットネス業界のこれからを予測するためにも、フィットネスの特徴・メリットを把握しておくのが大切です。この章で詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
総合フィットネス
総合フィットネスは、マシンエリア・ヨガなどのレッスンが受けられるスタジオ・プールなど、さまざまなトレーニング環境が整った大型施設。シャワールーム・サウナ・スパなどが備わっている施設も多くみられます。
気分によってトレーニングメニューを変えられるため飽きにくく、通い続けやすいのがメリットです。またトレーナーが常駐しているのもポイント。マシンの使い方を聞いたり、別料金でパーソナルトレーニングを受けたりと、初心者や運動が苦手な方でも効率よく運動できます。
コンセプト特化型スタジオフィットネス
コンセプト特化型スタジオフィットネスは、目的や生活スタイルに合わせ多様化した専門性の高いフィットネス。加圧トレーニング・暗闇フィットネス・高齢者向けや女性向けなど、さまざまな業態があります。
24時間ジム
24時間365日営業している24時間ジム。スタッフが常駐していない・プール・お風呂・サウナといった設備がなく小規模店舗が多いのが特徴です。人件費や光熱費などのコストを抑えられるため、入会費や会員費がリーズナブルな価格で利用できます。
利用者は自分で考えたメニューを、いつでも好きな時間で気軽にトレーニングできるのが大きなメリット。さらにマシンに特化している店舗も多く、会社帰りのビジネスマンや男性の利用が多く見られます。
パーソナルジム
パーソナルジムは専属のトレーナーによるマンツーマンのレッスンを受けられるのが大きな特徴。一人ひとりに合わせたプログラムを組んでもらえるので、効率よく正しいトレーニングができるのがメリットです。
さらに食事管理など日々の生活におけるアドバイスも受けられるため、結果がでやすく、ダイエット・ボディメイクなど目的に合った身体づくりを目指せるのもポイントといえます。
オンラインフィットネス
オンラインフィットネスとは、オンラインを通じてプロ講師によるレッスンに参加できるサービスです。リアルタイムで仲間と一緒にトレーニングに参加できるライブレッスン・あらかじめ録画されたトレーニング動画を視聴できるビデオレッスンがあります。さらに専属のトレーナーによるパーソナルトレーニングを受けるのも可能です。
ジムに通う必要がなく、好きな場所・好きな時間にトレーニングできるのが大きなメリット。さらにトレーニングメニューが豊富なほか、1人でレッスンを受けられるので、初心者の方でも気軽に運動できるところも魅力です。
フィットネスクラブと他のジムの違いについて関心のある方は以下の記事をご参考ください。
これからのフィットネス業界は何が人気?
種類が豊富なフィットネスですが、これからのフィットネス業界は何が人気なのか気になる方も多いのではないでしょうか。まずはフィットネスで提供している代表的なプランを把握するのが大切です。内容は以下の通りです。
- 短期集中型のフィットネス
- 継続型のフィットネス
この章ではそれぞれのプランの特徴と合わせ、これからのフィットネス業界のトレンドについても解説していきます。
短期集中型のフィットネス
短期集中型は2〜3ヶ月限定などジムに通う期間が決まっているのが特徴。パーソナルジムで多く採用されており、なかには専属のトレーナーによる週1〜2回ほどのレッスンと食生活など生活改善に向けたアドバイスにより、短期間での体型変化を目指すプランもあります。
会員費や月額費は他のフィットネスに比べて高額ですが、専属のトレーナーによるマンツーマンの指導を受けられるため、結果につながりやすいのがメリット。運動してもなかなか成果がでない・ダイエットを成功させたいなどのニーズに応えたビジネスモデルです。
継続型のフィットネス
継続型は固定の月額料金で通い放題、もしくは月に4回など回数を決めて通えるプランのことを指します。総合型ジム・24時間ジム・パーソナルトレーニングジムなど、多くのフィットネスクラブで取り入れているプランです。
以前は短期集中型のダイエット・ボディメイク目的でフィットネスクラブへ通う方が多く見られましたが、最近では健康やメンタル維持・ストレス解消など顧客のニーズが多様化しています。そのためこれからのフィットネス業界では短期集中型よりも継続型のフィットネスの需要が高まるといえるでしょう。
【コロナ禍でも拡大したフィットネス業界の市場】ジムの種類別にご紹介
フィットネスジムは市場拡大の傾向にありましたが、2020年は新型コロナ感染拡大の影響を受け売上高が大幅に激減。緊急事態宣言に伴う自粛要請により、全国のフィットネスジムが一時休業・時短営業を余儀なくされました。
しかしその一方で外出自粛やテレワークにより運動不足を感じ、運動を意識する人が急増しています。また目的に特化したフィットネスクラブも急速拡大。とくに24時間ジム・パーソナルトレーニングジムは店舗数が急増しました。
この章ではコロナ禍でも拡大し続けた24時間ジム・パーソナルトレーニングジムについて解説していきます。
- 24時間ジム
- パーソナルトレーニングジム
今後のフィットネス業界のトレンドを知るためにも、それぞれの特徴・メリットに着目しましょう。
24時間ジム
24時間ジムの大きな特徴は、24時間365日利用できること。早朝・深夜など、いつでも好きな時間・都合のいい時間で利用できるのがメリットです。シャワールームの設備もなく、マシンと最小限のスペースだけなので、利用客はトレーニングだけを行います。そのためコロナ禍においては、人との接触を避けたいと考える利用客のニーズに応えられる業態だったといえます。
またスタッフを常駐しない無人ジムやトレーニングマシンに特化しているジムも多く見られます。今はインターネットで何でも調べられる時代。YouTubeやSNSを利用しながらトレーニングメニューを組んだり、マシンの使い方を学んだりできます。スタッフを常駐する必要がなく少人数で運営できるため、運転資金のコスト削減につながるほか、年会費や会員費をリーズナブルな価格で設定できるのがポイントです。
デメリットはスタッフが常駐しない分、ダンベルやマシンを独占したり、もとの場所に戻さなかったりといったマナー違反によるトラブルが多いことです。また安全面の確保のため、防犯カメラの設置や入退館を管理するシステムの導入など、セキュリティ対策をしっかり行う必要があります。
パーソナルトレーニングジム
パーソナルトレーニングジムは専属のトレーナーによるマンツーマンのレッスンを受けられるのが大きな特徴。トレーナーに教わりながら、自分にあったトレーニングを受けられるため、初心者の方でも続けやすいのがメリットです。
専門のトレーナーを雇うため人件費が高く、月額会費が他のフィットネスクラブに比べて高いこと・通える期間や回数が決まっていることがデメリット。最近では女性専用ジム・ファディーがトレーナーの代わりとなるAI(人工知能)マシンでのパーソナルトレーニングを提供しています。
少人数でのトレーニングが可能なため、感染リスクが低い業態といえるでしょう。
オンラインフィットネスサービスとは
24時間ジム・パーソナルトレーニングジムのほかにも、最近注目されているのがオンラインフィットネス。ジムに通う必要がなく、自宅や勤務先など好きな場所・好きな時間でトレーニングできるのがメリットです。
この章ではオンラインフィットネスサービスについて解説していきます。内容は以下の通りです。
- オンラインフィットネスの市場動向
- オンラインフィットネスの今後の展開
オンラインフィットネスはフィットネス業界のなかでも新しい業態です。今後フィットネス業界での開業を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
オンラインフィットネス業界の市場動向
テクノクリエイトの「オンラインフィットネス市場の動向と将来展望」によると、オンラインフィットネスの市場規模は2019年度で約2.4億円、会員数は2万人前後と見られています。新型コロナの影響を受けた2020年初冬には会員数が急増。なかには3~4倍増えた企業もあります。
今後も市場は拡大傾向を続けていくと予測。2025年には8.4億円の売上が想定されています。
オンラインフィットネス業界の今後の展開
オンラインフィットネスの今後の展開を見ていきましょう。オンラインフィットネスの周辺事業として注目されているのが、アメリカでは既に展開されているフィットネス機器との併売です。ここからはフィットネス機器を用いたオンラインフィットネスの代表例と今後の展開について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
- Webツールを用いたパーソナルトレーニング
- AIによるパーソナルトレーナー
- 家庭用ゲーム機を用いたトレーニング
- ミラーデバイスを用いたオンラインフィットネス
Webツールを用いたパーソナルトレーニング
昨今のテレワークにより一気に普及したWeb会議ツールを使ったパーソナルトレーニング。Zoom・Google Meetなどのオンラインツールを利用し、リアルタイムでレッスンを受けられるのが大きな特徴。録画配信と違い、会話をしながらトレーニングできるため飽きにくく継続しやすいのがメリットです。
また日経BPによると、オンラインサービスの売買サイト「MOSH」では、フィットネスレッスンを提供する事業者が急増。コロナ禍の2020年4月の予約・取引件数が前月比260%増を記録しました。
AIによるパーソナルトレーナー
AIによるパーソナルトレーナーは、Webブラウザ経由で手本の動画を再生しながらトレーニングを実施。ユーザーの動きをPCカメラを通してAIが認識し、本物のトレーナーさながらのフィードバックや評価を行ってくれるのが特徴です。
自宅にいながらAI(人工知能)による、本格的なパーソナルトレーニングを受けられるのが大きなメリット。
家庭用ゲーム機を用いたトレーニング
任天堂の人気ゲーム機・Nintendo Switchを用いたゲーム型サービスで、中国で大人気のフィットネス。なかでも「リングフィット アドベンチャー」は付属のリングとレッグバンドを身に着け、ゲーム内のプレイヤーと連動しながら全身を使って遊べるゲームです。
脂肪燃焼・体幹トレーニングなど、鍛えたい部位に合わせたメニューが用意されており、誰でも簡単に楽しみながら運動できるのが魅力です。
ミラーデバイスを用いたオンラインフィットネス
専用のミラー型のデバイスとスマホアプリを連携したサービス。スマホアプリを操作し、ミラー型デバイスにさまざまなトレーニングコンテンツを表示させることができます。ユーザーはそれに合わせて運動できるため、初心者や運動が苦手な方に人気です。
ミラー型デバイスを提供する企業・ミラーフィットは、開始から約3年間で2,000台以上の売上を更新しています。
まとめ
コロナ禍の影響により、フィットネス業界では市場が大きく減少しました。しかしそのなかでも24時間ジム・パーソナルジムは急速拡大しています。その理由は自粛生活による運動不足・健康やメンタル維持などといった顧客のニーズや、新しいライフスタイルに合ったビジネスモデルだったからといえます。
今後も顧客のニーズは多種多様化していくものと考えられています。そのためフィットネスジムの経営を検討中の方は、フィットネス業界の動向を観察し、顧客のニーズに合ったフィットネスサービスを提供するのが大切といえるでしょう。
フランチャイズ本部に完全委託で高収益の投資型フランチャイズはこちら>>
上場企業が運営支援する高収益な結婚相談所ビジネスはこちら>>
この記事を読んだ人にオススメ
高齢女性向フィットネスと24時間ジムの成功戦略レポート
この記事の信頼性
BBSインターナショナル株式会社
取締役
藤本 晃士
2003年、関西学院大学法学部卒。
個別指導塾のエリアマネージャー、教育系ベンチャーを経て、
2014年、現所属の母体となるNBCインターナショナル(株)に入社。
教育、飲食、リラクゼーション、美容室、フォトスタジオ等、多岐にわたる業種のFC展開に携わる。
現在は、支援するAIフィットネスFCブランドに加盟店としても取り組み、チェーンNo.1店舗に成長させる。
運営ノウハウを築きながら展開支援をおこなう、ハンズオンコンサルティングを軸に活動。