【フランチャイズ事業計画書】加盟前に見るべき6つのポイントを解説
独立・開業を目指す方にとって、ブランドの使用権・経営ノウハウの提供などを受けられるフランチャイズは魅力的なビジネスモデルといえます。しかしフランチャイズの業種・本部は多種多様。しっかり比較して選ばなければ、思うような収益を得られず、事業に失敗してしまうかもしれません。
この記事ではフランチャイズ加盟前に見るべき事業計画書の6つのポイントについて解説します。フランチャイズ選びで失敗しないためにも、本部が作成した事業計画書を確認するのが重要です。事業計画書の確認ポイントを押さえて事業を成功させましょう。
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<目次>
事業計画書とは
事業計画書とは、どのように事業を進めていくのか、具体的な行動を内外に向けて示した計画書のことで、ビジネスプランとも呼ばれています。
事業を起こすにあたり、創業動機・事業内容・事業収支・事業の見通し・資金の調達方法など、決めておくべきことや知っておくべきことがたくさんあります。これらの要素をわかりやすくまとめたものが事業計画書です。
事業計画書は新規事業の立ち上げや既存事業の改善など、あらゆる事業について作成されます。社内外からの協力を得る際や、投資家や銀行から計画的に資金を調達する際に必要な書類でもあります。
事業計画書の書き方に特別な決まりはありませんが、主な記入項目を以下の表にまとめましたので参考にしてください。
創業者・創業メンバーのプロフィール | 創業者や経営者、創業メンバーのこれまでの経歴・保有資格など |
ビジョン・理念・目的 | なぜこの事業を行うのか
事業を通して社会へどのように貢献していくのか |
事業内容・事業概要 | どの市場・ターゲットに対し、どんなサービス・商品を提供していくのか
事業の特徴や魅力 |
自社の商品・サービスの強みや特徴 | 事業の独自性
自社にしか提供できない商品価値 |
市場環境・競合について | 市場のニーズ・事業に関する政策の動向・競合チェーンの存在など、事業をとりまく環境の説明 |
販売・マーケティング戦略 | どのようなルートで自社のサービスや商品を知ってもらうのか
どれだけの人材・宣伝をマーケティングに投じるのかの計画 |
事業の目標 | 社会のなかでどのような役割を果たしたいのか
どのように発展していきたいのか |
収支計画 | 売上や原価などの計画・予測
生産方法・仕入れ方法など |
資金調達に関する計画 | 事業を開始する際に必要な資金
どのように調達するか
返済に充てられる自己資金がどれくらいあるか |
フランチャイズ加盟前に本部(フランチャイザー)の事業計画書の確認が必要な理由
フランチャイズに加盟する前には複数のフランチャイズの事業計画書を確認しましょう。
フランチャイズ加盟は、本部(フランチャイザー)が持つブランドの使用権・経営ノウハウの提供など、さまざまなメリットがあります。しかしフランチャイズに加盟したからといって、必ずしも成功するとは限りません。事業計画書の確認が必要な理由は以下の3つです。
- 事業の構造を把握するため
- フランチャイズ本部の実力を把握するため
- 加盟店に対する本部の姿勢を理解するため
慎重に加盟先を選ばなければ、思っていたよりも利益が少なく、場合によっては経営が立ち行かなくなることも考えられるでしょう。それを防ぐためにも、複数のフランチャイズから事業計画書を取り寄せ、比較・検討するのが大切です。
事業の構造を把握するため
事業計画書には、開業資金の目安・売上や収支予測など、さまざまな項目や数値があります。
実績値と比較し、大きくぶれる可能性がある項目はどれか、そのなかで実績値が異なると事業継続が難しくなる項目はどれかを確認できるため、事業の構造を把握できるでしょう。
フランチャイズ本部の実力を把握するため
事業計画書の確認は、フランチャイズ本部の実力を把握するために役立ちます。
都合の良い数値・事例ばかりの場合、実績が示されていない場合、根拠が明確にされていない場合は、数字に弱い本部の可能性があります。
事業計画書の根拠となる実績や数値の意味の説明を本部に依頼し、本部の実力を見極めるようにしましょう。
加盟店に対する本部の姿勢を理解するため
加盟店に対する本部の姿勢を把握するためにも、事業計画書の確認が必要です。
加盟条件やフランチャイザーの対応がいいからといって、早急に加盟を決めてしまうのは避けたほうがいいでしょう。加盟店を増やしたいという思惑で、見通しの甘い売上予測になっているフランチャイザーも少なくありません。
また総投資額に物件取得費が含まれていなかったり、減価償却費を計上していなかったり、税引き後利益ではなく営業利益等により計算していたりと、利益を大きく見せている可能性もあります。
フランチャイズ加盟を検討している企業が事業計画書の中で確認すべきポイント
この章ではフランチャイズ加盟を検討している企業が事業計画書のなかで確認すべきポイントについて解説します。内容は以下の6つです。
- 売上予測と実績値との変動幅
- 初期投資として何の項目が計上されているか
- 各経費が適切に計上されているか
- その他に想定される経費がないか
- 減価償却費が計上されているか
- 最終的な利益はどのくらいか
事業計画書の重視すべきポイントを押さえて、フランチャイズ加盟後の失敗を防ぎましょう。
売上予測と実績値との変動幅
まずは売上予測と実績値との変動幅に着目しましょう。予測される客単価はいくらか、それは根拠ある数字であるかを確認すべきです。また想定される客数についても同様のことが言えます。
さらに実績値とどのくらいの変動幅があるかも把握しておきましょう。達成する可能性が高い売上計画になっているかを見極めるのが大切です。
初期投資として何の項目が計上されているか
初期投資としてどんな項目が記載されているか、その他に必要となる項目がないかをチェックしましょう。
例えば、店舗を構える必要がある事業であれば、店舗取得費が含まれているかが重要なポイントです。
また採用広告費・賃料・人件費・広告宣伝費など、事業を立ち上げる際に必要な項目が盛り込まれているかを確認するのも大切です。
各経費が適切に計上されているか
人件費・販売促進費・家賃・光熱費など、各経費が現実的な数字になっているかを確認するのが重要です。
人件費は無理なシフトが想定されていないか、社会保険料を考慮しているかに着目しましょう。また集客や広告宣伝に必要な販売促進費がどのくらいの予算で、どの程度の売上を見込んでいるのか、売上予測との割合を確認すべきです。さらに家賃・最近高額になりがちな光熱費についても、相場からかけ離れた金額になっていないかに注意しましょう。
その他に想定される経費がないか
事業計画書に記載がある経費以外に想定される項目はないかを確認しましょう。
例えば、貸店舗やテナントの契約期間が満了し、契約更新する際には契約更新料が必要です。同じ物件を長年借りるのであれば、契約更新料も経費の一部として考えなければいけません。
またアルバイトやパート雇用など、一定期間で従業員の入れ替わりが想定される場合には、求人広告を掲載した際にかかる採用費・従業員の教育や育成に必要な研修費についても確認しましょう。
減価償却費が計上されているか
減価償却費が事業計画書に反映されているかを確認するのが重要です。
減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用の全額を耐用年数に応じて分割して費用計上する会計処理のことを指しています。減価償却費は耐用年数が1年以上かつ取得価格が10万円以上のものが対象で、業務に用いられる建物・設備・機械装置・車両などが代表的です。
フランチャイザーによっては、減価償却前の利益を事業計画書に表記しているケースもあります。減価償却前と償却後の利益を混同してしまうと、儲かると判断して加盟したとしても、思うように利益がでない事態になりかねません。
最終的な利益はどのくらいか
以上のことを踏まえて、初期投資回収期間がどの程度になるのかを確認し、最終的な利益はどのくらいになるのかを把握しましょう。
初期投資回収期間とは、投資資金を回収し、黒字化するまでに要した期間のこと。投資資金の回収が完了すれば以降の収益がプラスとなり、運営を継続するほど利益を積み重ねることができます。
収益がプラスになるため、短期間で投資回収できるのが理想的ですが、事業の業態や市場の成長性を考慮して投資期間を計画するのが大切です。
投資費用が大きく回収までに時間がかかるものの息の長い事業もあれば、投資期間が短く多店舗展開しやすい事業もあります。フランチャイズの加盟先を選ぶ際は、初期投資回収期間も含めた複数の要素を比較して検討しましょう。
事業計画書の利益計算方法
事業計画書の利益予測の基本的な計算項目を説明します。まず、利益を計算するための基本的な式は次のようになります。
「売上高 - (売上原価 + 必要経費) = 利益」
この利益計算には、以下の計算が含まれます。
固定費の計算:
固定費(人件費、家賃、利息など)と減価償却費を計算します。これらは売上に関係なく発生する費用です。年間または半年ごとに支払う費用も含めて計算します。売上に比例するロイヤリティは変動費として扱います。
売上高の予測:
売上高は業界、立地、規模によって異なるため、フランチャイズ本部のデータや専門家の助言を基に予測します。
変動費の計算:
売上に比例する売上原価(仕入れ費用)とその他の変動費を計算します。原価率(売上高に占める原価の割合)は、計画段階では約20〜40%に設定し、調整します。ロイヤルティや営業費用など、固定費として計上しなかった費用は変動費として計算します。
さらに、税金や健康保険料、プライベートでの返済なども考慮し、赤字にならないように注意することが重要です。
赤字を防ぐには高利益率の業種を選ぶのもポイントです。以下の記事では、フランチャイズ狙い目業種や利益を出す上で注意すべき点もご紹介していますので、併せてご参考ください。
まずは6W2Hを意識して事業計画書を読んでみよう
事業のイメージを具体化するためにも、6W2Hの考え方を意識しながら事業計画書を読み取ってみましょう。6W2Hは、ものごとの目的・要件を明確に把握するためのフレームワークで、あらゆるビジネスの考え方の根本となるものです。
以下のように、Wから始まる6つの単語とHから始まる2つの単語で成り立っています。
- Why(なぜ)
- What(何を)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- Whom(誰に)
- How(どのように)
- How much(いくらで)
これらの要素を読み取ることで情報の整理がしやすくなります。
Why(なぜ)
なぜ、この事業を行うのかに着目しましょう。
なぜ、その商品・サービスを顧客に提供するのか、事業の目標や目的、社会的な存在意義を考えるようにします。
What(何を)
提供する商品・サービスは何か。また、その付加価値やコンセプトについても確認しましょう。
その商品・サービスを提供することで、顧客にどのような価値を与えるのか、市場に受け入れられるのかまで考察するのが大切です。
When(いつ)
どんなタイミングで事業を始めるかに着目しましょう。
資金・人手がどの時期にどれくらい必要になるかを逆算できるため、事業開始までのプランニングをイメージしやすくなります。
Where(どこで)
どこで提供するかをチェックしましょう。
商品・サービスを提供する場所や位置・地理情報・エリアなどを確認します。また具体的なエリアだけでなく、オンラインといった提供場所・流通経路、市場や商圏についても着目しましょう。
Who(誰が)
誰が提供するかを確認しましょう。
ここでは、商品・サービスの提供元である人物、役割を持つ部署・担当者、組織やチーム全体などが当てはまります。事業を立ち上げるうえで、どんな能力・経験を持つ人材が何名必要なのかに着目しましょう。
Whom(誰に)
誰に提供するのかを重視しましょう。
ここではターゲットとする顧客・対象者などが当てはまります。ターゲットとする顧客ができるだけ絞り込まれていれば、具体的な集客方法を検討できるでしょう。
How(どのように)
どうやって提供・販売するかをチェックしましょう。
どうやってその商品やサービスの認知度を高めるか、購入してもらうのかといった集客方法や販売促進方法が当てはまります。競合との差別化や独自性・優位性を発揮するための手段・プロセスなど、細部まで明確になっているかに着目しましょう。
How much(いくらで)
How muchは、お金に関わること全般を指しています。
開業前の初期費用、開業後に必要な運営資金がいくらなのかを確認しましょう。どのタイミングでどれだけの費用が必要なのか、どうやって調達するかなど、具体的な資金計画・資金調達手段を把握するのが大切です。
また商品・サービスの価格、仕入れ値や原価といった売上予測についても実現可能な数字になっているかを見極めましょう。
まとめ
フランチャイズ加盟を検討している方にとって、フランチャイズ選びは非常に重要です。WEBや説明資料だけでなく、事業計画書を確認することで、事業そのものの本質・フランチャイザーの実力や姿勢が見えてきます。
今回の記事では、加盟前に事業計画書の確認が必要な理由・事業計画書の重視すべき6つのポイントについて解説しました。フランチャイズでの独立・開業を成功させるためにも、本記事でお伝えした内容を参考に、フランチャイザーを比較・検討しましょう。
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この記事の信頼性
BBSインターナショナル株式会社
代表取締役
川口 毅
2002年、慶應義塾大学経済学部卒、大手広告代理店に入社。
その後メンタルコーチへのキャリアチェンジを経て、
2013年にNBCインターナショナル(株)に入社、フランチャイズの加盟店開発を専業とする。
2016年、同社取締役就任。2018年に事業部を分社化してBBSインターナショナル(株)を設立し、代表取締役就任。
フランチャイズの展開コンサルティングを主軸とし、フランチャイズ本部構築や、新規ビジネスの資金調達支援も行っている。