【新規事業とは?】成功するための7つのポイントや立ち上げに必要なプロセス、具体的な成功事例を徹底解説
会社を経営していると、新規事業の立ち上げを検討するタイミングがあるでしょう。社会情勢やニーズが変化していく中で生き残るためには、時代に合った事業を手がける必要があります。
しかし、初めて新規事業を立ち上げる方にとっては、何から取り組むべきか判断するのは難しいものです。
そこで本記事では、新規事業を成功させるためのポイントや立ち上げに必要なプロセス、具体的な成功事例を紹介します。
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<目次>
新規事業とは?定義や新商品開発との違いを解説
既存事業がどんなに成功していても、永遠に安泰ということはありません。長く続いている企業は、一つの事業だけではなく複数の事業に取り組んでいます。新規事業の立ち上げは、企業を存続させる上で必要な対策です。
はじめに、新規事業について詳しく確認していきましょう。
- 新規事業の定義
- 新規事業と新商品開発の違い
新規事業の定義
新規事業とは、既存事業とは別に新しくスタートさせる事業のことです。会社を存続させるためには、どのような情勢でも収益をあげ続ける必要があり、既存事業だけに注力していると衰退していく可能性が高くなります。
新規事業を立ち上げることにはリスクが伴いますが、収益の柱を増やしたり利益を拡大したりするためには必要な手段です。収益を生み出せる新規事業を、企業は常に探し続けなければなりません。
新規事業と新商品開発の違い
「新商品開発」とは、既存の収益の仕組みを用いて新商品・新サービスを生み出すことです。
例えば、レストランは時期によってメニューが変わることがありますが、これは新商品の開発に当たります。新商品の開発では、商品のバリエーションが増えるだけです。これまで行っていなかったネット販売をスタートするのは、新規事業と言えます。
「新規事業」と「新商品開発」は意味が似ていますが、お金をもらう仕組みを開発する場合は新規事業と言えるでしょう。
新規事業が必要な2つの理由
既存の事業が成功しているのであれば、そこに全力を注げば良いと思う人もいるでしょう。しかし、流行は必ず過ぎ去ります。企業は常に将来を見据えて開発していく必要があるでしょう。
企業が新規事業の開発に取り組まなければならない理由は主に2つあります。ここでは、下記の2つの理由について詳しく説明します。
- 製品ライフサイクルが短縮したため
- 企業の衰退を防ぐため
①製品ライフサイクルが短縮したため
どの商品・サービスも定期的にアップデートされ、より良いものに生まれ変わりますが、技術の進歩に伴い、製品のライフサイクルが短縮しています。
現在はインターネットで世界中の情報を簡単に入手できるので、流行の拡散はあっという間です。買った時には人気だった商品が、1年後には誰の目にもとまらないことも少なくありません。
企業は、変化する消費者のニーズを把握し、時代に合った新しい事業を立ち上げる必要があります。
②企業の衰退を防ぐため
事業には、導入期・成長期・成熟期・衰退期のように成長周期があります。どんなに繁盛している事業でも、同じことをずっと続けているだけではいずれ衰退してしまうでしょう。
また、現代ではAIなどの技術の発展によって、人に代わって機械が仕事をこなす時代になってきました。それによってダメージを受ける事業もあるでしょう。
一つの事業だけに頼ったビジネスをしていると、時代の変化によっても企業は衰退してしまいます。新規事業を立ち上げることは、企業を長く続ける上で必要不可欠です。
新規事業を開発するメリット
新規事業を開発するためには、ある程度の資金・労力が必要になります。リスクも少なくありません。
それでも新規事業の開発に取り組むのはメリットがあるからです。下記の主なメリットについて、詳しく確認していきましょう。
- 収益の柱を増やすことができる
- 人材育成につながる
収益の柱を増やすことができる
新規事業が軌道に乗れば、収益の柱を増やすことができます。既存事業がうまくいっているとしても、企業を長く存続させるためには、確実に収益をあげる事業がいくつか必要です。
既存事業に似た商品・サービスを安価な価格で提供する会社がいつ現れるかは分かりません。どのような状況でも生き抜くための策の一つが、新規事業の開発と言えるでしょう。
人材育成につながる
新規事業を立ち上げるためには、アイディア出しを始め、多くの工程を経ていく必要があります。時にはコンサルタントなどの外部の人と協力することもあるでしょう。新規事業の立ち上げは、経営者としての思考を身につける機会としても役立ちます。
既存事業に打ち込むのとは異なる貴重な経験をすることができるので、人材育成の場としても有効です。
新規事業を成功させる7つのコツ
新規事業の立ち上げは簡単なものではありません。失敗するリスクを少しでも軽減させるために悩んでいる方も多いでしょう。
ここからは、新規事業を成功させる7つのコツについて説明します。
- 顧客のニーズを細かく把握する
- 成功事例を分析する
- 既存事業の課題を明確にする
- 参入する市場を見極める
- ビジョンを具体化し社内で共有する
- 人材の育成を進める
- スモールスタートで始める
①顧客のニーズを細かく把握する
新規事業を成功させるためには、顧客のニーズを細かく把握する必要があります。そのためには顧客の動向の分析が重要です。顧客が抱える課題を解決するために、どうすれば他社ではなく自社の商品・サービスを選ぶのかを追求します。
効果的な手段の一つが顧客へのアンケートです。顧客の性別・年代・職業などの情報を取得し、自社の商品・サービスがどのような人に必要とされる傾向があるのか分かれば、ターゲット層を絞って開発を進められます。また、定期的にアンケートを取ることができれば、顧客のニーズの変化にも気づきやすくなるでしょう。
顧客のニーズは RFM分析によっても把握できます。最終購入日・利用頻度・使用金額の3つの指標を用いて顧客をグループ化することで、ターゲットとすべき顧客を判断しやすくなるでしょう。
②成功事例を分析する
新規事業を軌道に乗せるためには、成功事例を分析することも大切です。同じ業種で成功している企業を細かく分析し、自社に活かせることがないか研究してみましょう。
競合他社と全く同じことをするのではなく、オリジナリティをプラスして他にはない事業になるようアイディアを出す必要があります。
③既存事業の課題を明確にする
新規事業は、今まで取り組んだことのない別業界のビジネスをしなければいけないわけではありません。既存事業の課題を明確にし、それらを解決できるような商品・サービスを生み出すことも新規事業の一つです。
既存事業の課題は、事業を細かく評価することで見えてきます。資金面・組織状況・業務フロー・社員の業績などを分かりやすいように数値で評価しましょう。見える化すると問題が表面化してきます。
④参入する市場を見極める
新規事業を立ち上げる際は、市場調査が欠かせません。参入する市場で収益が見込めるか見極める必要があります。成熟した市場・発展途上の市場など、勝負するフィールドを慎重に選択しなければなりません。
市場の状況は、経済産業省・財務省などが作成している統計資料や、各業界団体が提供している市場動向の調査資料、またはリサーチ専門の会社が提供している統計データなどを利用することで確認できます。
⑤ビジョンを具体化し社内で共有する
新規事業の立ち上げは、経営陣だけで全てを決めてスタートさせるのではなく、社内で情報共有することが大切です。事業を成功させるためには、組織が一丸となって同じ方向に向かう必要があります。
まずは経営陣で新規事業のビジョンを具体化し、事業を進めて達成したいこと・社会への貢献などを社員全員が正しく理解できるように言語化しましょう。固まったビジョンは、社員に一方的に知らせるだけではなく、研修などを通して理解を深めて共感してもらうことが重要です。
⑥人材の育成を進める
新規事業を成功させるためには、人材育成も重要です。どんなに良い事業計画でも、実際に業務を担うスタッフに必要なスキルが不足していれば、望むような結果が出ないことも考えられます。
実際に事業が始まる前に、人材の確保・スキルの強化を行いましょう。現場で経験を積むOJTや座学での講習などを組み合わせて、人材の育成を進めてください。
⑦スモールスタートで始める
新規事業の立ち上げでは、スモールスタートが有効な戦略です。少ない投資で開始して商品・サービスを提供し、リスクを抑えながら徐々に事業を大きくしていきましょう。
スモールスタートをすれば、市場の反応を確認しながら方向性を柔軟に変えることが可能です。確実に成長を遂げるために非常に重要な戦略といえます。
新規事業が失敗する原因・理由
新規事業は必ずしも成功するとは限りません。成果をあげる前に事業を撤退するケースもあります。ここでは、主に下記の3つの原因について見ていきましょう。
- 顧客のニーズを正確に把握できていない
- 人材・スキルが不足している
- 撤退の基準が決まっていない
顧客のニーズを正確に把握できていない
新規事業が失敗する原因・理由に、顧客のニーズを正確に把握できていないことが挙げられます。
どんなに優れた商品・サービスでも、誰からも必要とされていなければ収益にはつながりません。楽観的に予想するのではなく、しっかりと調査した上で顧客のニーズから逸れないようにしましょう。
人材・スキルが不足している
新規事業を担当する人材の確保は、事業の成功において重要なポイントです。既存事業の業務との掛け持ちの場合は、新規事業に集中できているか注意する必要があります。
また、人材のスキルについても慎重に見極めましょう。経験不足のスタッフだけで編成されないようにし、特に責任者にはリーダーシップ・交渉力・情報収集力などが備わっている人を任命してください。
撤退の基準が決まっていない
新規事業を立ち上げる際は、事業が成功しなかった場合のこともあらかじめ決めておかなければなりません。利益が出るまである程度の時間が必要ですが、軌道に乗らないまま継続していては会社の存続に影響が出る可能性もあります。
どの段階で撤退するか基準を定めておきましょう。目標の達成率を定期的に確認し、会社全体の利益を考えて判断する必要があります。
新規事業の立ち上げプロセス
新規事業の立ち上げを効率的に進めるためには、正しい順序で計画的に行動する必要があります。以下のプロセスを参考にしてください。
- 責任者を決める
- 市場のリサーチ・分析
- アイディアの収集
- 事業計画の作成
- 事業性の評価
- 人材・資金の確保
- 開発・サービス化
- 定期的な事業の評価
実際に事業をスタートさせるまでに決めるべきことがたくさんあります。考え抜いた事業計画だと思っていても、事業性の評価の段階で失敗することも多いでしょう。
新規事業を立ち上げることは、企業の今後を左右する重要な業務です。成功に向けて必要なプロセスを慎重にこなしてください。
新規事業の立ち上げにベストなタイミング
新規事業は、立ち上げるタイミングが非常に重要になります。企業の成長段階には、創業期・成長期・成熟期・衰退期がありますが、一番良いタイミングと言えるのは、企業の成熟期に当たる段階です。
既存事業が軌道に乗り認知度が高まっていれば、新規事業に関しても世間からの注目を集めやすいです。また、資金面でも余裕があるので、新規事業で損失が出てもカバーできるでしょう。
反対に、創業期や衰退期は不向きな時期です。新規事業の立ち上げは企業存続のために役立つものですが、タイミングを誤ると既存事業にも影響が出る恐れがあるので気をつけましょう。
新規事業の立ち上げに成功した例
最後に、新規事業の立ち上げに成功した例を2つご紹介します。
- 任天堂
- 三菱商事株式会社
新規事業を立ち上げて軌道に乗せるのは簡単ではありません。有名企業の成功を確認して、自社の新規事業に役立てましょう。
任天堂
任天堂は、もともとは京都にあるカルタ屋でした。そこから新規事業を立ち上げ、これまでに数多くのヒット商品を生み出しています。代表的な作品は下記の通りです。
年 | 詳細 |
1977年 | 家庭用ゲーム機「カラーテレビゲーム15」を開発 |
1983年 | ファミコンを発売 |
1985年 | スーパーマリオブラザーズがヒット |
1989年 | ゲームボーイ発売 |
2011年 | Nintendo 3DS発売 |
2016年 | Pokemon Go リリース |
2017年 | Nintendo Switch 発売 |
誰もが知っているゲーム機を手がけていますが、実は収益の仕組みはハードの販売ではなく、ゲームソフトに搭載されている半導体の販売です。ゲームソフトは、任天堂製の半導体でなければ利用できない仕組みが構築されています。
ゲーム機は一家に1台という家庭もありますが、ゲームソフトは多くの種類が販売されていくので需要が尽きません。
任天堂のように、収益の仕組みを周囲から分かりにくくすることが事業成功の鍵とも言えます。他社から真似されにくくなるため、中長期に渡って収益源を確保できるでしょう。
三菱商事株式会社
スープ専門店の「スープストックトーキョー」は、三菱商事株式会社の社内ベンチャーとして始まった事業です。数多くある外食産業の中で成功を納められたのは、ニーズをしっかりと把握した結果と言えます。
「女性が一人でも安心してゆっくりと食事ができるファーストフード」がスープストックトーキョーのコンセプト。「スープのある一日」という物語仕立ての企画書から始まったそうです。
立ち上げ当時は、働く女性が一人でも気軽に入れる飲食店は少なかったので、そのニーズを満たしたサービスで人気となりました。
まとめ
どんなに調子の良い事業でも永遠に続くことはありません。新規事業の立ち上げは、企業が長く存続するために欠かせない戦略の一つです。
新規事業が成功すれば、収益の柱が増えるので経営が安定し、さらに人材育成の場としても活用できます。企業全体が成長できるでしょう。
新規事業を成功させるためには入念な計画が不可欠です。また、顧客のニーズを細かく把握したり市場を見極めたりする必要もあります。
実際に新規事業が失敗に終わった企業も存在するので、本記事で紹介した内容を参考に、事業開発に取り組んでみてください。
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この記事の信頼性
BBSインターナショナル株式会社
代表取締役
川口 毅
2002年、慶應義塾大学経済学部卒、大手広告代理店に入社。
その後メンタルコーチへのキャリアチェンジを経て、
2013年にNBCインターナショナル(株)に入社、フランチャイズの加盟店開発を専業とする。
2016年、同社取締役就任。2018年に事業部を分社化してBBSインターナショナル(株)を設立し、代表取締役就任。
フランチャイズの展開コンサルティングを主軸とし、フランチャイズ本部構築や、新規ビジネスの資金調達支援も行っている。